大工のいろは~五~
前回の「枝打ち」によって育てられた木を建築材として製材する過程で、「乾燥」の工程が必ずあります。
未乾燥(含水率が高い)のままの木材を使用すると、その後の反り・ねじれ・縮み・割れ等が発生しやすくなります。
まだ大工見習いの頃、現場であまり乾燥しきれてない木材を横に寝かせて乾かそうとしてたら、「立て掛けた方が乾きやすいぞ!」とベテラン大工さんから教わったことをよく覚えており、その時は、あ~そうなんだ~くらいにしか思ってませんでした。
それからしばらく経って、ふと思ったんです。
何で、立て掛けた方が乾きやすいんだろう?と。いろいろ調べてみました。
その理由は、
木は、元(根本)から末(頭)の方向に水分が吸い上げられながら成長していきます。
山で育っていた頃のクセ(記憶)は伐採後もずっと残るもので、
元を上に末を下(逆さまに)にして立て掛けることで、水分を吸い上げないようにして、乾燥を促進させるとのこと。
なるほど~
理由がわかると頭がスッキリしますね。
ただ、平たい板材などは反り・ねじれやすいので、やはり横に寝かせて乾かす方が良いなど、必ずしも立て掛け乾燥がベストとは言えず、現在は機械乾燥の技術も進んでおり、乾燥方法も用途・形状・含水率・時間・費用などによって様々なんです。