【太陽に集う家 HISTORY 第3回】自然の力を最大限に活用する「パッシブデザイン」とは

代表・田中の自邸でもあるgarDENのモデルハウス「太陽に集う家」。前回の第2回(間取り編)に続き、今回はHISTORY第3回をお届けします。テーマは「自然の力を最大限に活用するパッシブデザイン」。garDENが家づくりの軸に据えてきた考え方を、当時の記事を引用しながらあらためてご紹介します。

当時の記事より:パッシブデザインとは
2016年・元記事より
garDENが推奨する「パッシブデザイン」とは、機械の力に頼らず、自然の力を最大限に活用する設計のこと。
風・光・太陽熱などの自然エネルギーによって、心地よい暮らしを実現します。
10年経っても、考え方は変わりません
2016年に書いていたこの定義は、10年経った今も、私たちの家づくりの軸そのものです。むしろ、年月を重ねるほどに「機械に頼らなくても、自然の力を上手に使えば、これだけ快適に暮らせる」という実感が深まっています。
気密性能や断熱性能を表す数値は、ここ数年でさらに業界全体のスタンダードが上がりました。けれども、一番大切なのは数字そのものではなく、その家が365日、住まい手の心地よさをどれだけ支え続けられるか。パッシブデザインの考え方は、そのための土台になっています。
当時の記事より:パッシブデザイン3つのメリット
2016年・元記事より

・光熱費の削減、CO2の削減によって、地球温暖化の抑制に貢献します。
・garDENは、家庭でのエネルギー消費量と電力消費量を1/2にすることを目指す「一般社団法人 Forward to 1985 energy life」の1985地域アドバイザー拠点に認定されています。

・室内温度差が少ないため、「ヒートショック(※)」の原因を回避します。
※ヒートショックとは:急激な温度変化で血圧が大きく変動し、失神や脳梗塞、心筋梗塞など身体に悪影響を及ぼす。年間1万人以上が亡くなっています。
・室温、湿度が安定し、女性に多くみられる“冷え”が緩和され、美容と健康につながります。

・エアコンやファンヒーターの利用を最小限に抑えることで、光熱費を35年で100万円近くも削減することが可能。
・太陽光を最大限に取り入れ、日中の照明利用を減らし、電気代を削減します。
10年実際に住んでみての実感
「地球・家族・財布にやさしい」という3つの言葉は、当時はまだ少し遠いイメージで使っていた部分もありました。10年実際に住んでみて、それぞれが想像以上に具体的な日々の実感になっているのを感じます。
冬の朝、家中どこへ移動しても寒さに肩がすくむことがほとんどありません。脱衣室や廊下、トイレに至るまで、家の中で温度差を感じにくい暮らしは、想像以上に体を楽にしてくれます。記事のなかで触れられていた「ヒートショック」という言葉が、年齢を重ねるほどに自分ごととして響いてくるようになりました。
夏も、強い日射しの日に家へ帰ってきた時の「家のなかが涼しい」という安心感。これはエアコンをガンガン効かせた冷やしすぎの涼しさとは違う、自然光と風と蓄熱がバランスをとった涼しさです。光熱費の面でも、気密と断熱がしっかりしている家は、長く住むほどそのありがたみを感じます。
写真や間取りなど、詳しい情報は施工例ページでご覧いただけます
当時の記事より:「太陽に集う家」のパッシブポイント
2016年・元記事より


2階北側の「ウィンドキャッチ窓」から、南側の大開口が「風の通り道」に。すべての引き戸を開け放せば、季節の風が家中に巡ります。

南側の大開口と、リビングの大きな吹抜けで、室内に自然光が巡ります。日が暮れるまで照明のいらない生活に。

南側の大開口からの日射熱を、土間床やレンガ壁に蓄熱。夏場は軒庇でしっかり遮熱します。




夏場は2Fのエアコンだけで家中を冷やし、冬場は1Fの床下エアコンだけで家中を暖めることも可能。寝室とキッチン、そして階段に設置されたガラリ(吹き出し口)より、夏場は冷気、冬場は暖気が送り込まれ、快適に過ごすことができます。
直接的に風を感じないのも嬉しいポイント!
10年経った今、家の性能を実感する
当時のイラストや解説で書いていた仕組みは、今も毎日の暮らしのなかでしっかり働き続けています。とりわけ実感するのが、各階1台のエアコンで家中の空気をコントロールする「パッシブ冷暖」の考え方です。
夏は2階のエアコンが家全体を緩やかに冷やし、冬は1階の床下エアコンが家を底から温める。寝室やキッチン、階段に設けられたガラリから、ふわっと冷気や暖気が伝わってくる感覚は、エアコンの直接的な風が苦手な方にもおすすめできる仕組みだと感じています。
パッシブデザインは、住まい手にとっても、家計にとっても、地球にとっても無理のない選択です。10年暮らしてみて、その良さは「快適さの記憶」としてだんだん蓄積されていきます。冷暖房に過度に頼らなくても、家のなかで自然に呼吸できる感覚。これは、きっと長く住み続けるほどに評価が増していく価値だと思っています。
次回は、人が自然と集まる家の暮らしをご紹介します
第4回では、「人が自然と集まる家」の暮らしについて、当時の記事をベースにあらためて綴っていきます。家族や友人とどのように時間を過ごしてきたか、この家ならではの暮らしのかたちを、10年分の実感とともにお届けする予定です。
田中からひとこと 10年前、パッシブデザインを語るときに念頭にあったのは「地球温暖化」という言葉でした。あれから10年、気候はさらに激しさを増し、いまでは「地球沸騰化」という言葉が使われる時代になっています。厳しく、長くなる夏をどう暮らすか――家づくりにおいて、その問いはより切実なものになってきていると感じます。
パッシブデザインは、家を建てる時には少し抽象的に聞こえる言葉かもしれません。でも、住み始めてしばらくすると、それがどれほど暮らしの根っこを支えてくれているかが、毎日の小さなところで感じられるようになります。
朝、カーテンを開けたときに差し込む光。冬の脱衣室の温度。夏に窓を開けたときに通り抜ける風。こういった一つひとつが、設計時の積み重ねによって生まれているということを、住んでみて初めて実感しました。これから家を建てられる方には、「数値」だけでなく「体感」の心地よさを軸に、家を選んでいただきたいなと願っています。

田中 健治