家の前で、線香花火
娘が今年から東京で働きはじめました。お盆に、久しぶりに帰ってきました。
特別なことは何もしていません。夕食のあと、家族で家の前に出て、花火をしました。手持ちの花火をひととおり終えて、最後に線香花火です。犬のジェムも、少し離れたところから不思議そうに眺めていました。

最後に残しておいた線香花火
子どもが家にいる時間は、思ったより短い
家づくりのご相談をいただくとき、子ども部屋の話は必ず出てきます。何畳にするか、いくつ用意するか、将来仕切れるようにするか。私たちも一緒に、あれこれ考えます。
ただ、実際に自分の子どもを送り出してみて思うのは、子どもがその部屋を使う時間は、家の寿命に比べると驚くほど短いということです。18年、長くても20年とすこし。家のほうは、その先もずっと建っています。
だから子ども部屋は、あとで使い方を変えられるように考えておくのがいいと、あらためて思いました。書斎にでも、趣味の部屋にでも、帰ってきたときの客間にでもなるように。
家は、帰ってくる場所になる
そしてもうひとつ。家は、いつのまにか「帰ってくる場所」になるのだ、ということです。
建てているときは、これから始まる暮らしのことばかり考えています。けれども何年か経つと、家は出ていった家族を迎える側にまわります。玄関を開けて「ただいま」と言われる。その一言のために、家はずっとそこにあり続けます。
線香花火は、火をつけてすぐは勢いよく散って、最後にいちばん静かに、細く長く燃えます。家も似ているのかもしれません。にぎやかな時期があって、そのあとに、静かで長い時間が続く。どちらもその家の暮らしです。
私たちがつくっているのは、その両方をひととおり受けとめられる、1軒の家なのだと思います。

田中 健治