「世のため人のため」── ソーシャル企業認証制度「S認証」のこと
私たちの世代は、おばあちゃんにそう言われて育ちました。意味がよくわからないまま、ただ何度も聞かされた言葉です。自分のためだけに生きるのは、どうやらあまり格好のいいことではないらしい。子ども心にそんなふうに受け取っていたように思います。
歳を重ねて、会社を預かる立場になってから、あの言葉の意味がようやく少しずつわかってきました。
京都で工務店を営むgarDENは今、その言葉をそのまま掲げた「ソーシャル企業認証制度(S認証)」の認証企業になっています。
その言葉を掲げた「S認証」がありました
garDENは、「ソーシャル企業認証制度(S認証)」という認証を受けています。京都信用金庫さん、京都北都信用金庫さん、湖東信用金庫さん、そして龍谷大学さんのユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターが協定を結んで生まれた制度で、社会課題の解決に取り組む企業を、第三者の委員会が評価・認証するものです。
この制度が掲げている言葉が、まさに「世のため人のため」でした。ホームページを開いたとき、おばあちゃんの声が聞こえた気がしたのを覚えています。
審査で問われるのは、売上でも規模でもありません。どんな経営方針を持っているか。世のため人のために何をしているか。地域や地域の人々に、どんな影響を与えているか。そんなことを、正面から聞かれます。答えを書きながら、自分たちの仕事を棚卸しさせてもらったような時間でした。
garDENが書いたこと
私たちが書いたのは、特別なことではありません。小さなエネルギーで健康・快適に暮らせる家、いわゆるパッシブデザイン住宅をつくり続けていること。そして、その考え方をもっと多くの方に知っていただくために、YouTubeで発信を続けていること。
家づくりを通じて、住まい手・つくり手・地域の皆さまの「Happy」をつくりたい。そう書きました。住む人にも地球にも優しい家が1軒ずつ増えていけば、それは確かに世のため人のためになるはずだと、私は思っています。
認証を受けて驚いたのは、実に様々な業種の会社が、この制度の趣旨に賛同して参加されていたことです。業種も規模もばらばらなのに、根っこのところで同じ方向を向いている。そういう仲間が増えていけば、Happyの相乗効果が生まれるのではないかと期待しています。
これからの若者にも
今の若い人たちは、会社を選ぶときに「この会社は何のためにあるのか」をよく見ています。給料や休みの条件だけでなく、その仕事が誰かの役に立っているのかどうか。それを真剣に考えている人が、私たちの想像よりずっと多い。若い社員と話していて、いつもそう感じます。
であれば、私たち大人がやるべきことは、はっきりしています。世のため人のために働くことは、決して損な生き方ではない。そう胸を張って言える会社を、ちゃんと残しておくことです。
おばあちゃんが私にくれた言葉を、今度は私たちが、これからの若い人たちに手渡していく番なのだと思います。看板やロゴマークのためではなく、その言葉に恥ずかしくない仕事を積み重ねていくこと。それが、認証をいただいた私たちの宿題だと受け止めています。
garDENの取り組みは、S認証のサイトでもご紹介いただいています。よろしければご覧ください。

田中 健治