卒FITで考える、蓄電池選び その1
卒FITを迎えた方なら、一度は蓄電池を検討されたことがあるのではないでしょうか。かく言う私も、昨年から検討を続けています。今日は、その途中経過をお話しします。
きっかけは、京都市の断熱改修補助
昨年から始まった、京都市の「既存住宅の断熱改修等補助」です。このブログでも、昨年の制度が始まったときと、今年度の受付が始まったときの2回、ご紹介しています。
既存住宅をZEH水準の省エネ性能に近づけるための制度で、断熱改修が必須。そこに併せて入れる太陽光発電、蓄電池、エアコン、給湯器なども対象になります。
断熱改修:補助対象経費の3分の2(上限120万円/戸)
太陽光・蓄電池・省エネ機器など:補助対象経費の3分の2(設備をあわせて上限300万円/戸)
3分の2という補助率は、なかなかありません。蓄電池だけを単体で考えると重い買い物ですが、断熱改修と一緒に動かすなら話が変わってきます。私が昨年から検討を始めたのも、ここがきっかけでした。
もっとも、条件はいくつもあります。太陽光はFIT・FIP制度を使わないこと。蓄電池は太陽光でつくった電気を貯めて使うこと。そして、その住宅で使う電力を再生可能エネルギー100%の電力に切り替えること。電気の契約そのものを変える必要があります。令和8年度の申請期間は5月1日から11月30日まで。対象は京都市内の既存の戸建住宅で、マンションや新築は対象外です。
売るより、貯めて使う
あらためて、なぜ蓄電池かという話です。
以前の記事にも書きましたが、卒FIT後の売電単価は関西電力の場合で8円前後。一方、買う電気は再生可能エネルギー発電促進賦課金なども含めて1kWhあたり30円前後です。昼につくった電気を8円で手放して、夜に30円で買い戻している。その差を埋める箱が、蓄電池ということになります。
ただし、値打ちが3倍あるからといって、設備の値段が3分の1になるわけではありません。ここからが悩みどころです。
2025年に、いちばん魅力的だったもの
昨年、私がいちばん惹かれたのは、ファーウェイさんの住宅用蓄電システム「LUNA2000-4.95-15」でした。
理由は4つあります。
・15kWhという大容量を、kWhあたりで見て手の届く単価で入れられる
・パワーコンディショナと一体のハイブリッド型で、変換のロスが少ない
・全負荷対応。停電を感知すると5秒以内に自立運転へ切り替わる
・モジュール式で、5kWhから30kWhまで組み合わせられる
特に大きかったのが、2つ目のハイブリッド型という点です。わが家の太陽光は竣工から10年が経ち、パワーコンディショナもそろそろ更新の時期にさしかかっています。どうせ替えるのなら、蓄電池と一体のものに置き換えたほうが無駄がない。10年目という節目と、うまく重なる選択肢でした。
3つ目の全負荷というのも、住宅としては大事なところです。特定の回路だけが生きる方式ではなく、家全体が動く。停電のときに、いつもと同じ暮らしがそのまま続くかどうかは、体感がかなり違います。
調べていくうちに分かったのですが、この蓄電池はOEMでも供給されていて、国内のいろいろなブランドから、中身の同じものが出ていました。名前が違っても、開ければ同じ。そういう製品です。
仕様を見ると、実効容量15kWh、定格の入出力は4.5kW。本体は幅670×高さ1320×奥行150ミリで、質量は据置き用のベースを含めて163.8キロあります。動作温度はマイナス20度から55度まで。この重さと大きさをどこに置くかは、設計の側から見ると、けっこう真面目に考えるべき条件です。
それでも、決めきれずにいます
魅力的だと思いながら、昨年のうちに決断はできませんでした。
ひとつは金額です。工事費を含めた家庭用蓄電池の相場は、いまおよそ110万円から260万円。3分の2の補助があるとはいえ、断熱改修とセットで動かす制度ですから、蓄電池だけを取り出して考えるわけにはいきません。わが家の場合、どういう断熱改修と組み合わせるのが筋がいいのか。そこがそのまま検討のテーマになりました。電気の契約を再エネ100%に切り替えるという条件も、決めるまでに一度立ち止まるところです。
もうひとつは、V2Hです。並行して勉強もしていましたが、電気自動車に貯めるときと、家に戻すときの変換ロスが大きく、正直なところ実用的ではないなと判断していました。ところが最近になって、そのロスを抑えた商品も出てきています。これは、次回にご紹介します。
それから、これは理屈ではないのですが、どうせ入れるなら、応援もかねて日本のメーカーのものにしたいという気持ちもありました。性能と価格だけで割り切れないのは、私たちが地元に根を張る工務店だからかもしれません。
そして何より、蓄電池もV2Hも、家電のように気軽に取り替えられるものではありません。一度入れれば10年、15年と付き合う設備です。だからこそ、慎重に選ぶ必要があると思っています。
2025年から2026年にかけて、蓄電池のまわりは目に見えて動きがありました。あのとき決めていたら、と思う部分もあれば、待ってよかったと思う部分もあります。その話は、次回に書きます。
これから建てる方へ
卒FITは、太陽光を載せた家なら10年後に必ず来ます。そのときに選択肢を広く持てるかどうかは、建てる段階でほとんど決まってしまいます。
そのFIT制度そのものも、私が建てた10年前とはすっかり様子が変わりました。2026年度の買取価格は、10kW未満の住宅用で最初の4年間が24円、5年目から10年目までが8.3円です。前半を厚くして投資の回収を早める「初期投資支援スキーム」という考え方で、10年ならしてみると1kWhあたり15円弱になります。
ここで目を留めていただきたいのが、後半の8.3円です。買う電気は30円前後ですから、5年目から先は、売るより自分の家で使うほうがはっきり得になる。制度のほうが、はじめから自家消費を前提に組まれているわけです。
10年後の卒FITを待ってから考えるのではなく、5年目にはもう蓄電池が視野に入る。そういう時間割になったのだと思います。
蓄電池を置く場所と、その足元。分電盤の余地。パワーコンディショナから蓄電池までの配線ルート。どれも、設計のときならほとんど費用をかけずに用意できるものばかりです。100キロを超える機器を、あとから置ける場所がない、というのはよくある話です。
わが家を実験台にして分かることは、これからも包み隠さずお伝えしていきます。迷っておられる方は、遠慮なくお声がけください。一緒に考えていきましょう。

田中 健治