京都の電力会社テラエナジーについて
参加している経営者の会で、竹本了悟さんのお話を何度もうかがってきました。浄土真宗本願寺派・西照寺のご住職で、TERA Energyさんという電力会社の代表取締役でもある方です。
お坊さんがはじめた電気の会社
お坊さんが電力会社の社長、と聞くと少し意外に思われるかもしれません。私も最初はそうでした。ただ、何度かお話を聞くうちに、この会社のかたちは竹本さんの歩んできた道そのものなのだと感じるようになりました。
竹本さんという方
竹本さんは防衛大学校を出られて、海上自衛隊に入られた方です。退官後に龍谷大学の大学院で救済論を研究され、僧侶になられました。2010年には認定NPO法人「京都自死・自殺相談センター Sotto」を立ち上げ、いまも代表を務めておられます。
お話の中で印象に残っているのは、活動を続けるにはお金がいる、という率直な部分でした。人の心に寄り添う仕事ほど、事業としての足腰が要る。その足腰をどうつくるかを考え抜いた先に、電気があったのだそうです。
電気を、応援に変える
TERA Energyさんは2018年、3人のお坊さんの手ではじまりました。竹本さんのほかに、覚円寺副住職の霍野廣由さん、恵光寺住職の本多真成さん。お寺を人と人がつながる場にしたいという方、自死の相談活動を支える仕組みを求めていた方、仏教の視点から環境問題に向き合ってきた方。この3つの願いが重なってできた会社です。
仕組みはとてもわかりやすいものです。「テラエナジーでんき」に切り替えると、毎月の電気料金の最大2.5%が、利用者が選んだ団体への寄付になります。寄付の原資は会社の収益から出るので、利用者の負担が増えることはありません。子どもの居場所づくり、環境保全、地域づくり。200ほどの団体の中から、応援したい先を自分で選べます。
2026年7月の時点で、応援している人は1,931人、これまでの寄付の累計は5,666万円あまり。決して大きな数字ではないのかもしれませんが、電気代という毎月必ず出ていくお金が、静かに誰かの活動を支え続けている。そのことに、私はすなおに感心しました。
電源のこと
電気そのものについても書いておきます。TERA Energyさんの電源構成は再生可能エネルギーが75%以上で、日本の平均をかなり上回っています。太陽光・風力・バイオマスなど、空気を汚さない電気を選んで調達されているとのことです。再エネ100%のオプションも用意されています。
料金は市場価格に連動するプランで、使う時間帯を工夫すれば抑えられる設計になっています。切り替えても送配電網はこれまでと同じですから、停電が増えたり電気の質が落ちたりすることはありません。
お寺とお宮の発電プロジェクト
もうひとつ、建築の仕事をしている身として気になっている取り組みがあります。2023年に京都市と連携協定を結ばれた「お寺とお宮の発電プロジェクト」です。5年間で市内の寺社仏閣100か所と、伏見エリアの商店街の施設など90か所に、太陽光発電や蓄電池、省エネ機器を入れていこうというものです。
古い建物に手を入れるのは、新しく建てるより難しいことが多いものです。景観の制約もあれば、屋根の構造の問題もある。それでも文化財を守りながら脱炭素を進めていこうという発想は、京都という土地でこそ意味があると思っています。
私たちも、考えていきたい
garDENでは、断熱や気密といった家の性能、太陽光発電、蓄電池と、暮らしのエネルギーについてお客さまと一緒に考えてきました。けれど「電気をどこから買うか」については、正直まだ深く踏み込めていません。
どれだけ性能のいい1軒を建てても、そこで使う電気がどこでどうつくられたものかまでは、これまであまり話題にしてきませんでした。屋根に載せる、蓄える、そして選んで買う。この3つがそろってはじめて、暮らしのエネルギーの話は一周するのだろうと思います。
私たちも色々と考えていきたいと思っています。
まずは、ぜひ一度テラエナジーでんきのサイトを見てみてください。料金のシミュレーションもできますし、応援できる団体の一覧を眺めているだけでも、こんな活動があったのかという発見があります。
電気は、ただのエネルギーではないのかもしれません。竹本さんのお話をうかがうたび、そんなことを考えています。

田中 健治