北大路文化芸術クラス2026が開催されます|京都・新大宮商店街
うちの事務所の周辺、京都・北大路から新大宮商店街にかけての一帯で、この秋、小さな芸術祭が立ち上がります。「北大路文化芸術クラス」といいます。実行委員会の方から企画書をいただいて、これはいいなと思ったので、少しご紹介させてください。
点を、つなぐ
北大路のあたりは、不思議な場所です。新大宮商店街の日常があって、その一方に今宮神社や大徳寺がある。閑静な住宅地でありながら、個人で、あるいは小さな規模で、ものをつくっておられる方が実はあちこちにいらっしゃいます。
ただ、その活動はそれぞれ「点」のままでした。アトリエはアトリエ、喫茶店は喫茶店、工房は工房。すぐ隣に面白い人がいても、お互いに知らないままだったりする。企画書には、この点と点をつなぐ仕組みがいる、と書かれていました。
読みながら、なるほどと思いました。街の魅力というのは、たいてい足し算ではなく掛け算で立ち上がるものだからです。
かつてここには花が咲いていた
第1回のテーマが、「かつてここには花が咲いていた」といいます。
今宮神社の周辺は、平安時代には「洛外」、つまり境界の外側でした。天皇の狩猟や遊興の地であり、同時に疫病退散を祈る地でもあった。いまの市街地とはまるで違って、自然豊かな野原が広がる、特別な境界の空間として扱われていたそうです。
紫野という地名の由来になったムラサキの花も、そのあたりに一面に咲いていたのではないか。企画書には、そう書かれていました。
いい題だと思いました。昔はよかった、という感傷の話ではなく、いま同じ場所でもういちど花を咲かせよう、という話だからです。
美術館ではなく、街が会場になる
この芸術祭の形式は、オープンハウスです。
期間中、それぞれの活動拠点——アトリエ、工房、店舗——が、そのまま開かれた会場になります。普段は食事を出しているお店が、壁面に作家さんの作品を掛ける。普段は作品をつくって売っている工房が、その工程を体験できるワークショップをひらく。そういう形だそうです。
つくる場所と、つくった人と、作品が、同じところにある。白い壁に掛かった作品だけを見るのとは、受け取るものがまるで違うはずです。
そして、街を歩くこと自体が、そのまま鑑賞になります。大徳寺の何百年かの時間があり、商店街の今日の活気があり、路地裏に珈琲の匂いがある。その合間に作品が置かれている。ガイドブックには載っていない道を、宝探しのように歩くことになります。
家をつくる仕事をしていると、つい建物の中のことばかり考えてしまいます。けれど本当は、家の外に何があるかで暮らしはずいぶん変わる。歩いて面白い街かどうかは、間取りと同じくらい大事なことだと、私は思っています。
先日、2回目の集まりに参加してきました
ありがたいことに、私どもにもお声がけをいただきました。先日は2回目の打ち合わせに、私も出てきたところです。
つくり手の方、お店をされている方、大学の学生さん。肩書きも年齢もばらばらの人たちが、ひとつのテーブルを囲んで、あれをやろう、これはどうだろうと話している。街の催しというのは、こうやって立ち上がっていくのかと、聞いているだけで面白い時間でした。
その日の様子は公式のInstagramにも上がっていて、私も端のほうにちらっと写っています。よろしければ探してみてください。
garDENとして何を、どういう形でご一緒できるかは、まだこれから考えるところです。決まりましたら、またこの場でご報告します。
会期のこと
北大路文化芸術クラス2026
2026年10月31日(土)〜11月15日(日) ※開催予定
参加される拠点や個別のイベントは、これから順次発表されていくと思います。公式のInstagram(@kitaoji_art_festival)で告知されていますので、気になる方はのぞいてみてください。
秋の京都は、どこも人が多い季節です。けれどこの芸術祭が開かれるのは、観光の道筋からは少し外れたところ。だからこそ、この街のふだんの顔が見えるはずです。そういう2週間になるのではないかと、いまから楽しみにしています。
